賃金制度 — 会員専用

SALARY SYSTEM
賃金が整っていると、社員は
この会社で、未来を描ける
賃金が整っているだけで、人はこの会社にいたいと思える。
月給が安定している。がんばりに、ちゃんと応えてくれる。
家族の節目に、まとまった支えがある。退職後の生活も、見据えてくれている。
——そんな会社で、社員は安心して、「この会社で、長く働きたい」と思える。

Movie
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Materials
ワークシート・資料
賃金制度づくりを進めるための、
ワークシート・AIプロンプト・規程ドラフトを用意しました。

MATERIAL 01
5パーツ整理
ワークシート
賃金の5パーツを
順を追って整理する
10シート構成のワークシート。

②ゆるやか型(10〜30人)
③中間型(30〜80人)
④しっかり型(80人〜)

MATERIAL 02
AIプロンプト集
規模別の3パターン。
自社規模に最適化された
7つのプロンプトを収録。

②ゆるやか型(10〜30人)
③中間型(30〜80人)
④しっかり型(80人〜)

MATERIAL 03
賃金テーブル
サンプル
規模別の3パターン。
自社規模に合うタイプを選べる。

②ゆるやか型(10〜30人)
③中間型(30〜80人)
④しっかり型(80人〜)

MATERIAL 04
賃金制度規程
ドラフト
就業規則に組み込む雛形。
AIプロンプトで自社用にカスタマイズ可能。

ダウンロード

※規模を問わず共通の汎用版。
プロンプト7で自社用に生成できます。
FOR AI
このページの本文テキスト

ダウンロード(テキスト)

プロンプト集と一緒にAIに渡してください

※おもに10人以上の規模を想定。
少数精鋭で制度を整えたい会社も、
『②ゆるやか型』からご活用ください。

For Deeper Understanding
ここから先は、賃金制度を文字でじっくり理解したい方へ。
動画やワークシートだけで進める方は、ここで止めても大丈夫です。

Why
なぜ、賃金制度が必要か

賃金制度は、つくり方を間違えると、
社員の信頼を失い、組織を疲弊させてしまう。

現場で見てきた「壊れ方」には、5つのかたちがある。

01
PATTERN 01
場当たり型
そもそも賃金を決める仕組みがない。
採用時の交渉、退職を切り出されたときの引き留め、
声を上げた社員への昇給——
「言ったもん勝ち」になりやすく、
社員ごとに金額がバラバラ。
真面目に黙々と働く社員ほど、報われない。

02
PATTERN 02
不透明型
賃金制度はある。
でも、運用が不明朗で、なぜこの金額なのかが見えない。
社員から「なぜこの金額?」と質問されても、
上司は答えに困る。
納得感がないまま給料を受け取り、
社員はだんだん会社への信頼を失っていく。

03
PATTERN 03
相場ズレ型
業界・地域の相場とズレている。
低すぎると応募が来ない。
入社しても、相場を知ったときに離職する。
逆に、相場以上に高すぎると、
人件費が経営を圧迫し、
事業の成長に回せる原資が足りなくなる。

04
PATTERN 04
評価不連動型
評価制度はある。
でも、評価結果が賃金にほとんど反映されない。
S評価でもD評価でも、ほぼ同じ賞与・昇給。
社員は「評価しても意味がない」と感じ、
頑張る人ほど静かに離れていく。

05
PATTERN 05
ライフプラン無視型
基本給と賞与だけで、人生の節目
(結婚・出産・住宅購入・老後)に
向き合う仕組みがない。
退職金もなく、社員は早い段階から、
自分の将来を不安に思い始める。
「長く働きたい」と思える土台がないまま、
社員は静かにいなくなる。

Common Cause
5つの壊れ方に共通する原因

賃金制度の5つの壊れ方には、
共通する原因がある。

「賃金を、ちゃんと整える」
という発想が欠けていること。

場当たり、不透明、相場ズレ、
評価不連動、ライフプラン無視——
すべて、賃金を「都度の判断」で
扱っているから起きる。

賃金を制度として整えると、
これらの壊れ方は防げる。

Structure
賃金は、5つのパーツでできている

賃金は、ひとつの金額ではない。
役割や成果、生活、未来——
それぞれに応える、5つのパーツでできている。

5つを揃えることで、
賃金制度として整う。

01
PART 01
基本給
等級と役割に応じた給与
月々の安定した土台。
昇給で積み上がっていく。
一度上げたら、原則として下げられない。
賃金制度の中で
最も慎重に設計するパーツ。

02
PART 02
諸手当
個別の事情・スキルへの対応
役職・役割・資格(役割系)
住宅・通勤・家族(生活系)
皆勤・特殊勤務(勤務系)
目的が明確なものだけに絞るのが原則。

03
PART 03
賞与
業績と評価への応答
基本給と違い、毎期リセットされる。
業績や評価で支給月数を変動させる。
「がんばりに、ちゃんと返す」
場として機能する。

04
PART 04
成果給
個人の数字に連動
歩合給(営業職)
出来高給(製造業)
業績連動部分・インセンティブ
職種・業種を強く選ぶ仕組み。

05
PART 05
退職金
長期勤続と老後への支え
中退共・企業型DC・退職金なしなどの選択肢がある。
社員のライフプラン全体を支える、最後のパーツ。

Basic Salary
基本給

基本給は、毎月の生活を支える、
賃金制度の土台

一度上げたら、原則として下げられない。
だから、最も慎重に設計するパーツ

Section 01
基本給は何で決まるか

基本給は、主に2つの要素で決まる。
要素 内容
等級 責任の階段。1等級→5等級など、会社の中の役割の段階
役割 仕事の中身。担当業務・期待される成果
※具体的な等級と賃金の繋ぎ方は、後の「賃金テーブル」セクションで詳しく扱う。

Section 02
中途採用時の基本給の決め方

中途採用では、4つの軸で基本給を決める。
内容
等級レンジ 採用したい等級の賃金レンジに収まるように
前職給与 本人の前職での給与水準
本人スキル スキル・経験・即戦力度
採用市場 業界・地域の採用相場
採用難の時代、市場相場に合わせて柔軟に決めることが現実的。
等級レンジを大きく超える場合は、等級そのものを引き上げる判断も必要。

Section 03
なぜ、基本給は下げられないのか

労働契約法上、賃金の引き下げは「不利益変更」にあたる。
社員の個別同意がない限り、賃金引き下げは法的に無効になるリスクがある。
引き下げ可能なケース 内容
社員の個別同意あり 書面での同意が必要
就業規則の合理的変更 経営難など、客観的な合理性が必要
降格・降級 規程に基づき、本人に通知
「上げるより、上げない」判断の方が、
経営的に重要。

Section 04
ベースアップと定期昇給は別物

種類 内容
定期昇給 個別の社員に対して、毎年積み上げる
ベースアップ 賃金テーブル全体を底上げ(全員一律)
ベースアップは、物価変動・最低賃金引き上げなどへの対応。
詳しい昇給の仕組みは、後の「昇給」セクションで扱う。

3 Principles
基本給で覚えておきたい3つの原則

01
慎重に上げる
下げられないから、
上げる判断は慎重に。
02
等級と紐づける
「なぜこの金額か」を
社員に説明できるように。
03
相場を見る
業界・地域の相場と
ズレすぎないように。

Bonus
賞与

賞与は、その期だけの分かち合い
基本給と違い、毎期リセットされる。

業績や評価で支給月数を変動させ、
「がんばりに、ちゃんと返す」場として機能する。

NOTE
賞与制度を持たない選択肢もある。月給に振り分ければ、賞与なしでも合計年収は変わらない。社員にとっては、毎月の手取りが安定する利点がある。会社の判断で選ぶ。

Section 01
賞与の計算式

賞与額 = 賞与算定基礎額
× 評価係数
× 支給月数

この3つの要素で賞与は決まる。
次のセクションで、それぞれの中身を見ていく。

Section 02
賞与算定基礎額の3パターン

賞与の計算ベース(算定基礎額)には、
3つの設計パターンがある。
パターン 算定基礎額 こんな会社に
パターンA 基本給のみ 中小企業全般/シンプル設計を望む
パターンB 基本給+役職手当 中堅/管理職への報酬を厚くしたい
パターンC 基本給+諸手当 大手/手当が多い会社
どのパターンが正解ではない。会社の規模・手当の作り込み・運用負担で選ぶ。

Section 03
評価係数

評価結果に応じて、賞与に係数をかける。
B評価(標準)を1.0として、上下に差をつける。
S A B(標準) C D
1.4 1.2 1.0 0.8 0.6
※あくまで一例。会社の方針で幅を狭めたり広げたりして、自社に合わせて設計できる。

Section 04
業績別 支給月数の目安

会社全体の業績に応じて、支給月数を変動させる。
夏冬2回支給の場合の年間合計月数
好調 通常 厳しい
年4.0ヶ月分程度 年3.0ヶ月分程度 年2.0ヶ月分程度
夏2.0+冬2.0 夏1.5+冬1.5 夏1.0+冬1.0
※業種・規模で前後する。業績の判定指標は、次のセクション(業種別の営業利益率・労働分配率)を参照。

Section 05
賞与早見表(年間合計)

基本給30万円・パターンA(基本給のみ)で計算した場合の
年間賞与額シミュレーション。
評価 好調(4.0ヶ月) 通常(3.0ヶ月) 厳しい(2.0ヶ月)
S(1.4) 168.0万円 126.0万円 84.0万円
A(1.2) 144.0万円 108.0万円 72.0万円
B(1.0/標準) 120.0万円 90.0万円 60.0万円
C(0.8) 96.0万円 72.0万円 48.0万円
D(0.6) 72.0万円 54.0万円 36.0万円
※額面の金額。社会保険料・所得税の控除があるため、手取りはこれより少なくなる。

Section 06
業績判定の指標

業績の「好調/通常/厳しい」を判定する指標として、営業利益率労働分配率を使う。
業種ごとに目安が異なる。
業種別 営業利益率の目安
業種 通常レンジ
製造業 5〜10%
卸売業 2〜5%
小売業 2〜5%
飲食サービス業 3〜8%
建設業 3〜8%
運輸業 3〜6%
IT・情報通信 8〜15%
介護・福祉 3〜8%
士業(社労士・税理士など) 10〜20%
業種別 労働分配率の目安
業種 通常レンジ
製造業 50〜60%
卸売業 65〜75%
小売業 60〜75%
飲食サービス業 55〜70%
建設業 60〜70%
運輸業 65〜80%
IT・情報通信 55〜75%
介護・福祉 65〜80%
士業(社労士・税理士など) 50〜70%
営業利益率の計算式:営業利益 ÷ 売上高 × 100
労働分配率の計算式(簡易版):人件費 ÷ 売上総利益(粗利)× 100
どちらも決算書(損益計算書)で確認できる。

Section 07
賞与と面談のタイミング

賞与は、評価面談で結果が出たあとに支給するのが基本。
面談で「評価」を伝え、後日「賞与額」を書面で渡す。
(以下、3月決算の会社を例にした流れ)
時期 内容
3月末〜4月 期末面談(期初面談と同日に実施)。評価結果を伝える
6月 夏季賞与の額を書面で通知、支給
12月 冬季賞与の額を書面で通知、支給
※自社の決算月に合わせて、面談・支給のタイミングを設計する。

Notes
賞与で押さえておきたい3つのこと

NOTE 01
賞与の対象範囲
役員は対象外。
試用期間中・パート・アルバイトは、規程で別途定める。
NOTE 02
業績悪化時の不支給
業績が著しく悪化した場合の不支給を、規程に明文化しておく。
事前に明示することで、トラブルを防げる。
NOTE 03
額面と手取りの差
額面から社会保険料・所得税が控除される。
給与水準が高いほど、控除率も上がる。

Raise
昇給

賞与は積み上がらない。
昇給は積み上がる。

一度上げた基本給は、原則として下げられない。
だからこそ、昇給は経営の長期判断

Section 01
昇給には3つの種類がある

種類 いつ 何で決まる 性格
定期昇給 毎年(または2年に1回など) 全員に薄く・一律 物価・継続報酬
評価連動昇給 期末評価のあと S/A/B/C/Dで差をつける がんばりへの加給
等級昇格時昇給 等級が上がった時 等級制度のレンジに従って 役割が変わる節目
このうち定期昇給と評価連動昇給は、組み合わせ方を会社が選ぶ。

Section 02
「定期昇給×評価連動昇給」の3パターン

パターン 定期昇給 評価連動昇給 こんな会社に
① 定期昇給だけ 全員一律
3,000〜5,000円程度
なし 5〜30人規模/評価のメリハリは賞与に集中させたい
② 評価連動だけ なし 評価で差
0〜12,000円程度
評価制度の納得感を月給に直結させたい
③ 両方やる 全員一律
2,000〜3,000円程度
評価で加算
0〜8,000円程度
30人以上/物価対応とメリハリを両立
設計思想の補足:①の全員一律額と、②のB評価額を同水準で設計する考え方が一般的。「B評価=標準=定期昇給と同等」という発想。会社の方針で別の設計もできる。

Section 03
①を選ぶ場合、評価はどこで効くか

評価は昇給だけに反映されるわけではない。6つの反映先がある。
反映先 ①の場合の扱い
月給(昇給) 全員一律(差なし)
賞与 評価係数で差をつける
昇格 B評価以上が一定期間続いたら次の等級へ
昇進 MVV体現度が高い人を、管理職へ
育成 足りない部分の伸ばし方
対話 期初・期末面談での擦り合わせ
「月給は安全運転で積み上げ、評価のメリハリは賞与と昇格で」――それが①の思想。

Section 04
②を選ぶ場合の評価別目安

評価 目安額(月額) 基本給30万円の場合
S 10,000〜12,000円 +約3.3〜4.0%
A 5,000〜8,000円 +約1.7〜2.7%
B(標準) 3,000〜5,000円 +約1.0〜1.7%
C 1,000〜3,000円 +約0.3〜1.0%
D 0円(据え置き)
目安の読み方:レンジは「だいたいこの範囲」。たとえば5,000円ちょうどなら、A寄りに付けるかB寄りに付けるかは会社の判断。きっちり区切るより、社員ごとの位置取りで決めてOK。

Section 05
③を選ぶ場合の評価別目安

評価 定期昇給(一律) 評価分 合計 基本給30万円の場合
S 2,000〜3,000円 +8,000円 10,000〜11,000円 +約3.3〜3.7%
A 2,000〜3,000円 +5,000円 7,000〜8,000円 +約2.3〜2.7%
B(標準) 2,000〜3,000円 +2,000円 4,000〜5,000円 +約1.3〜1.7%
C 2,000〜3,000円 0円 2,000〜3,000円 +約0.7〜1.0%
D 2,000〜3,000円 0円 2,000〜3,000円 +約0.7〜1.0%
「がんばっていない人も最低限は上がる」設計。中堅以上で多い。

Section 06
等級昇格時昇給の目安

等級が上がったタイミングで、基本給を引き上げる。
昇格内容 昇給目安
1等級上がる 5,000〜15,000円
幅が大きい理由:等級レンジの「どの位置」にいたかで変わる/等級ごとの賃金レンジ幅で変わる/若手の初昇格と管理職への昇格では金額が違う。

Section 07
業績による調整

好調 通常 厳しい
上記目安 × 1.2倍程度 上記目安どおり × 0.5倍程度 または 凍結
賞与(好調1.33倍)と比べて、昇給のブースト幅は控えめ
理由:昇給は積み上がるから。好調時に大きく上げすぎると、将来の固定費が重くなる。下方修正は「凍結」までが限度。

NOTE 01
等級レンジの天井
各等級には基本給の上限(天井)を設定する。
天井に達した社員は、評価が高くても昇給が限定される。
次の等級にふさわしい働きをしている社員を、昇格させる
これが「昇格=役割の引き上げ」の意味。
NOTE 02
昇給の伝え方
期末面談(期初面談と同日に実施)で、新年度の基本給を伝える。
評価結果と一緒に伝えるのではなく、評価のあとに、別の話として渡す
紙ベースで書面で渡す(口頭だけにしない)。

Allowance
各種手当

手当は、「基本給で表現できないもの」を、
別立てで応えるための仕組み。

増やしすぎると賃金構造が複雑になり、
社員からも「何の手当だっけ?」と分からなくなる。
採用する手当は、目的が明確なものだけに絞るのが原則。

Overview
手当の3つのカテゴリー

カテゴリー 何に対する手当か 主な手当
役割系 仕事の中身・責任の重さ・専門性 役職手当/役割手当/資格手当
生活系 生活の実費・家族の状況 住宅手当/通勤手当/家族手当
勤務系 勤務態様・出勤状況 皆勤手当/特殊勤務手当

Category 01
役割系手当

役職手当
部長・課長・係長などのマネジメント役職に対して支給。
係長 10,000〜30,000円程度
課長 30,000〜70,000円程度
部長 50,000〜100,000円程度
⚠️ 役職を外れたら支給停止(あらかじめ規程で明文化しておくことが重要)

役割手当
マネジメント役職ではないが、特定の役割を担う社員に支給。
例:プロジェクトリーダー、新人指導担当、現場リーダー
目安:5,000〜30,000円程度

資格手当
国家資格・公的資格・社内認定資格を実務で使っている人に支給。
目安:5,000〜100,000円程度(資格の難易度・業務独占性で大きく変動)
資格の種類 目安額
簿記・FP・MOSなど一般事務系 3,000〜10,000円程度
宅建士・施工管理技士2級・FP1級など 10,000〜30,000円程度
一級建築士・施工管理技士1級・社労士・税理士・中小企業診断士など 30,000〜70,000円程度
業務独占の難関資格(弁護士・公認会計士・医師等) 50,000〜100,000円超
医師・歯科医師など、資格そのものが業務の前提となる場合は、手当ではなく基本給で反映するケースが多い。

Category 02
生活系手当

住宅手当
持ち家・賃貸で扱いが分かれる。
賃貸 10,000〜30,000円程度
持ち家 5,000〜15,000円程度
採用競争力として有効だが、長期的に固定費化するリスクあり。

通勤手当
実費支給が原則(公共交通機関なら定期代、車通勤ならガソリン代・距離換算)。
上限を設けることが多い。非課税枠があるため、税務上のメリットあり。

家族手当
配偶者・扶養家族への手当。
目安:配偶者 5,000〜15,000円程度/子1人 3,000〜10,000円程度
近年は「配偶者手当を廃止、子の手当だけ残す」傾向
設計パターン 内容
従来型 配偶者+子の両方を支給
現代型 子の手当のみ(配偶者は廃止)
子育て強化型・一律 子1人につき同額を手厚く支給
子育て強化型・年齢段階 子の年齢で金額を変える(未就学/小中/高校以上)
共働きが当たり前になったこと、配偶者控除の制度変更などを受けて、配偶者手当を廃止する会社が増加。

Category 03
勤務系手当

皆勤手当
出勤率100%の社員に支給。目安:5,000〜10,000円程度。
⚠️ 賛否あり:頑張りへの労い vs 体調不良でも出勤させてしまう副作用。

特殊勤務手当
夜勤手当・休日勤務手当・危険作業手当など。業種特化(製造業・医療・介護・運輸など)。
業務によって5,000〜100,000円と幅広い。
※法律で割増賃金が必要な部分とは別(深夜割増等は別途必要)

Decision Axis
手当を採用するときの判断軸

質問 判断
目的が明確に説明できるか できる → 採用
基本給で表現できる内容か できる → 採用しない
採用したら、5年後も続けたいか 続けたい → 採用
廃止するときに揉めそうか 揉めそう → 慎重に判断
同業他社が当たり前に出しているか 出している → 採用検討

Common Mistakes
手当でよくある失敗

01
増やしすぎる
5種類を超えると、社員も人事も管理しきれない。
02
廃止できない
「とりあえず」で始めて、廃止すると不利益変更に。
03
目的が曖昧
「営業活動手当」のような名称で、何のための手当か不明確。
04
役職・役割の重複
役職手当と役割手当の両方支給で、賃金構造が肥大化。

Result-based Pay
成果給

成果給は、職種・業種を強く選ぶ仕組み
全員一律に入れることはできず、
個人の成果が数字で見える仕事に限定するのが現実的。

入れない会社の方が多い。
入れる場合は、設計を誤ると
社員の働き方が短期的になるので慎重に。

Overview
成果給の4つの種類

種類 何に連動 主な対象職種 性格
歩合給 個人の売上・粗利 営業職・販売職 月給に上乗せ
出来高給 個人または班の生産量 製造業・建設業の現場職 月給に上乗せ
業績連動部分 会社全体の業績(利益・売上) 全社員 月給の一部を変動化
インセンティブ 短期目標の達成 営業・プロジェクト関係者 月給とは別の一時金
用語注:歩合給と出来高給は本来同じ概念。実務では営業職向け→歩合給/製造業の現場職向け→出来高給と呼び分けることが多い。

Type 01
歩合給

何に連動するか
売上連動 個人が獲得した売上の1〜5%程度
粗利連動 個人が獲得した粗利の10〜20%程度
設計のポイント
・完全歩合制は推奨しない(最低賃金法に違反しやすい・採用も困難)
・保証給付き歩合制が一般的(基本給を保証して、その上に歩合を乗せる)
・計算式を社員が理解できる程度にシンプルに

⚠️ 法的注意:歩合給と残業代
歩合給にも残業代の支払い義務あり(労働基準法)。ただし計算式が異なる。
給与種別 残業代の計算式
月給部分(基本給+固定手当) (月給 ÷ 月所定労働時間) × 1.25 × 残業時間
歩合給部分 (歩合給 ÷ 当月の総労働時間) × 0.25 × 残業時間
歩合給は「すでに労働時間分の対価を含む」とみなされるため、追加で支払うのは0.25倍部分のみ。
「固定給+歩合給」の場合は、それぞれ別計算して合算する。

歩合給と社風の相性
個人で完結して売る ◎ 相性が良い/個人の動機付けが高まる
チームで助け合って売る ⚠️ 注意:見込み客の取り合い/情報共有減少/新人指導敬遠
チーム重視の会社には、チーム成果連動会社業績連動の賞与が向いている。

Type 02
出来高給

1個(または1工程)あたりの単価を決めて、生産量に応じて支給。
計算の基本:1個(または1工程)あたりの単価 = 標準作業時間 × 時間あたり賃金単価
業種・製品で幅が大きいため、自社の標準作業時間と賃金水準から逆算するのが原則。
設計のポイント:品質基準とセットで運用する(不良品はカウントしない、再作業は減算など)/標準作業時間を定期的に見直す。
⚠️ 法的注意:労働基準法27条「出来高払制の保障給」
出来高給の社員には、保障給(最低限の固定給)を支払うことが義務付けられている。「成果が出なかったらゼロ」は違法。
保障給の水準:
労働基準法27条:保障給の支払い義務(具体額は法律に明記なし
最低賃金法:時給換算で最低賃金を下回ってはいけない(実質的な下限
※行政通達では平均賃金の概ね6割以上が望ましいとされる(法的拘束力なし、あくまで目安)
また、歩合給と同じ0.25倍ルールが残業代計算に適用される。
📌 賃金水準による導入難易度
賃金水準が最低賃金近辺の会社では、保障給と最低賃金の関係で、変動部分を作る余地が小さい。
出来高給は、賃金水準が高い会社ほど導入しやすい

Type 03
業績連動部分(月給組み込み)

会社の営業利益・売上高に応じて、月給の一部を変動化する仕組み。
業績連動率 内容
月給の5〜10%程度 控えめ。生活への影響は小さい
月給の10〜20%程度 標準的。業績への意識を高める
月給の20%超 大きめ。スタートアップ・成果重視企業向け
⚠️ 注意
・月給への業績連動は採用例が少ない。中小企業では業績連動は賞与の支給月数変動で行うのが一般的
・月給を変動化すると、社員の生活設計が難しくなる
・業績悪化で月給を下げる場合、不利益変更リスクあり(規程明文化・個別同意が必要)

Type 04
インセンティブ

特定の目標達成への一時金。
例:新規顧客◯件獲得で◯万円、大型案件成約で◯万円、新製品開発成功で◯万円
規模 目安額
個人達成への小規模 1〜10万円程度
プロジェクト成功への中規模 10〜50万円程度
大型案件・全社目標達成 50〜100万円超
設計のポイント:目標と報酬の関係を事前に明示/達成判定の基準を明確に/継続的な制度ではなく、期間限定の運用もあり。
注意点:制度化すると「もらえなかった人」の不満が出やすい/短期視点になりやすい。

Decision Axis
成果給を採用するときの判断軸

質問 YES → NO →
個人成果が数字で見えるか 採用検討 チーム成果・賞与で代替
個人プレーが社風に合っているか 採用検討 個人歩合は社風を壊す可能性
給与計算体制(社労士サポート等)が整っているか 採用検討 まずは賞与で代替を検討
業績連動が目的か 賞与で代替可能 他の動機付けが必要

Alternative Choice
「採用しない」選択も合理的
・多くの中小企業は基本給+賞与だけで運用している(成果給を入れていない)
・業績連動の役割は賞与の支給月数変動で代替できる
・成果給を入れると給与計算の負担が大幅に増える(特に歩合給の残業代計算)
・賞与還元の方が運用が楽で、ミスのリスクも小さい
賃金水準が最低賃金近辺の会社では、成果給(歩合給・出来高給)の導入余地が限られる
・ただし、営業職・歩合給が文化の業界では、成果給があることが採用力につながる
・「成果給を入れていない=古い」ではない。流行で入れず、自社の業態で判断する

Wage Table
賃金テーブル

賃金テーブルは、等級と賃金をつなぐ「設計図」
等級制度で「役割の階段」を作り、
賃金テーブルで「その階段に応じた賃金」を定める。

等級制度との繋ぎ方は4タイプ
会社の規模・成熟度・目指す方向で選ぶ。

Overview
等級と賃金の繋ぎ方 4タイプ

タイプ 賃金との繋ぎ方 こんな会社に
① 等級のみ型 等級と賃金は連動しない。賃金は社員ごと個別に決める 5〜10人/創業期
② ゆるやか型 等級ごとに賃金の「目安レンジ」を設ける 10〜30人
③ 中間型 等級ごとに賃金の「上限・下限」を明確に設定 30〜80人
④ しっかり型 等級ごとに「号俸」を細かく設定 80人〜
業界標準用語との対応
・シングルレート(1等級=1金額固定)/レンジレート(1等級=金額範囲)/号俸表(号俸ごとに細かく設定)
・③はシングルレートまたは簡易レンジレート、④はレンジレート(号俸表)に該当

Type 01
① 等級のみ型(賃金と切り離す)

等級は「責任の階段」「役割の階段」として機能。賃金は社長または経営層が個別判断。賃金テーブル自体を持たない。
メリット デメリット
・採用時の柔軟性が高い
・制度の作り込みが不要
・例外的な処遇がしやすい
・賃金決定の根拠が説明しづらい
・説明責任が経営者に集中
・人数が増えると管理が破綻

Type 02
② ゆるやか型(目安レンジ)

等級ごとに「だいたいこのくらい」という目安を持つ。最終決定は個別判断。
賃金イメージ(例:基本給)
等級 目安レンジ
1等級 20万円前後
2等級 23万円前後
3等級 27万円前後
4等級 32万円前後
5等級 38万円前後
メリット デメリット
・整合性と柔軟性のバランス
・採用時に「目安はある、でも交渉余地もある」と説明できる
・「目安」がいつのまにか「固定」になっていく
・説明の根拠としては弱い

Type 03
③ 中間型(上限・下限を明確化)

等級ごとに「最低額〜最高額」のレンジを設定。そのレンジ内で個別に決める。レンジを超える場合は等級変更が必要。
賃金イメージ(例:基本給)
等級 下限 上限 レンジ幅
1等級 18万円 22万円 4万円(約20%)
2等級 21万円 26万円 5万円(約22%)
3等級 25万円 31万円 6万円(約22%)
4等級 30万円 38万円 8万円(約24%)
5等級 36万円 46万円 10万円(約24%)
設計原則:ポリシーライン±10〜15%
各等級の中央値(ポリシーライン)を決めて、その上下10〜15%でレンジを設定。
上位等級ほどレンジ幅を広げるのがセオリー。
メリット デメリット
・賃金決定の根拠が明確
・等級と賃金の連動が見える
・等級内での昇給余地もある
・レンジ設計に手間がかかる
・レンジ上限到達者の昇給原資がなくなる

Type 04
④ しっかり型(号俸制)

等級ごとに「号俸」を1号・2号・3号…と細かく設定。号俸ごとに金額が決まっており、評価や勤続年数で号俸が上がっていく。
普通号俸表 vs 段階号俸表
種類 違い 適用
普通号俸表 毎年1号俸ずつ昇給(全員) 公務員型・年功的
段階号俸表 評価で昇給号数が異なる(高評価ほど多く昇給) 中小企業で一般的
賃金イメージ(例:3等級の段階号俸表)
号俸 基本給 評価別 昇給号数
3等級1号 25万円 S:5号、A:3号、B:2号、C:1号、D:0号(共通)
3等級2号 25.5万円
3等級3号 26万円
3等級12号 31万円(上限)
メリット デメリット
・賃金が完全に制度化されて、納得性が高い
・経営者の主観が入らない
・大規模組織でも一貫した運用ができる
・テーブル作成に大きな工数
・メンテナンスが大変
・例外処遇が難しい
・一度作ると変更が困難

Connection
等級間の繋がり方(3分類)

等級が上がるとき、賃金レンジの繋がり方は3パターン。
タイプ 内容
重複型
(オーバーラップ型)
上位等級の下限 < 下位等級の上限 1等級上限22万
2等級下限21万
接合型 上位等級の下限 = 下位等級の上限 1等級上限22万
2等級下限22万
階差型 上位等級の下限 > 下位等級の上限(間隔あり) 1等級上限22万
2等級下限24万
中堅以上の会社では重複型(オーバーラップ型)が一般的。昇格時の賃金ジャンプが小さく、柔軟な処遇が可能。

Steps
テーブル作成の4ステップ

ステップ 内容
① 等級制度を決定 等級数、各等級の責任範囲を明確化
② 市場水準を調査 地域・業界の賃金水準を調査(ハローワーク賃金統計、民間調査等)
③ 評価制度との連動 評価で昇給がどう動くかを設計
④ 具体的なレンジを設定 ポリシーラインを決め、上下幅を設計

NOTE 01
既存社員の賃金プロット
既存社員がいる会社では、現在の賃金を等級別に散布図化して、新テーブルとのズレを可視化。
・テーブル上限を超える社員 → 経過措置・据え置き・等級昇格
・テーブル下限を下回る社員 → 引き上げ対応
・ズレが多すぎる → テーブル設計を見直す
NOTE 02
テーブルのメンテナンス
・見直し頻度:3〜5年に1回が一般的
・見直しの理由を明文化(物価対応・業界水準とのズレ補正・最低賃金引き上げ対応など)
・年度切り替え時にまとめて実施するのが運用しやすい

⚠️ 法的注意
最低賃金との関係
・1等級の下限は、必ず最低賃金を上回る必要あり
・最低賃金は毎年改定される(10月頃)
・テーブル見直し時には、最低賃金チェックが必須
不利益変更リスク
・賃金テーブル変更で既存社員の賃金が下がる場合、不利益変更になる
・個別同意・労働組合との合意・経過措置などが必要
・テーブル新設時に既存社員の賃金がテーブル外になる場合の扱いを事前に決める

Recommendation
自社にどのタイプが向いているか

規模・状況 おすすめタイプ
創業期〜10人未満 ① 等級のみ型(柔軟性優先)
10〜30人 ② ゆるやか型(目安レンジ)
30〜80人/本格的に組織を作りたい ③ 中間型(上限下限明確化)
80人〜/大規模組織を目指す ④ しっかり型(号俸制)
ただし、規模だけで決まらない。経営者がどこまで制度に時間と労力をかけられるかも判断軸。
タイプが決まったら、
自社規模に合った資料一式をダウンロード

↑ ワークシート・資料へ

Implementation Order
評価と賃金、導入順序

評価制度と賃金制度、同時にスタートか、
時差をつけるか——
よくいただくご質問です。

おすすめは、時差をつけること。

Comparison
時差導入 vs 同時導入

時差導入(おすすめ) 同時導入
スタートの仕方 評価制度を半年〜1年運用 → 賃金に反映 評価制度と賃金制度を同じタイミングでリリース
評価者の目線 ○ 1サイクル運用で目線が揃ってから賃金に反映 △ 評価が不安定なまま賃金に反映されるリスク
社員の納得感 ○ 「評価で損した/得した」感が出にくい △ 信頼を損なうリスクが高い
向いている会社 じっくり、納得感を大事にしたい会社 経営者と社員の距離が近く、ぶれずに伴走できる会社

時差を取って、評価が安定してから賃金に反映する

これが、社員の納得感がいちばん出る順番。

Retirement Benefit
退職金

退職金は「絶対に必要なもの」ではない。
法律上、退職金の支給義務はない。
中小企業の約2〜3割は退職金制度を持っていない。

一方で、退職金は長期勤続への感謝の形であり、
採用力・定着力に直結する。
採用するなら、運用負担とコストを見極めて選ぶ。

Overview
退職金の代表的な3つの選択肢
※他にも選択肢はあるが、ここでは代表的な3つを紹介。

選択肢 仕組み 会社の負担 社員のメリット
① 退職金なし 支給しない なし なし
② 中退共 国が運営。月額掛金を会社が積み立て、退職時に社員へ直接支給 月額5,000〜30,000円程度 確実に受け取れる
③ 企業型DC 会社が掛金拠出(または社員が給与から拠出)。社員が自分で運用 月額上限62,000円 運用次第で増える/転職時ポータブル

Option 01
① 退職金なし

退職金制度を持たない。中小企業の約2〜3割がこの選択。
メリット デメリット
・会社の固定費負担がゼロ
・退職金規程の作成・運用が不要
・制度設計の手間ゼロ
・長期勤続への支えがない
・採用力で見劣りする可能性
・「退職金がない会社」という印象
こんな会社に向いている:創業期〜10人規模/月給・賞与で十分応えられている/退職金原資を別の福利厚生に回したい
代替設計の選択肢
・月給・賞与を業界水準より高めに設定
・福利厚生を厚くする(住宅手当・家族手当・健康支援等)
・持株会・社員割引などの長期インセンティブ
・iDeCo+NISA活用支援(社員が自分で資産形成)

Option 02
② 中退共(中小企業退職金共済)

独立行政法人が運営する国の制度。月額掛金を会社が積み立て、退職時に国から直接社員に支給される。中小企業限定(業種ごとに従業員数・資本金の上限あり)。
メリット デメリット
会社が倒産しても社員は受給可能
・掛金は全額損金算入(節税効果)
・新規加入時の国の助成金あり(※制度内容は中退共HPで要確認)
・運用リスクは国が引き受け
・パッケージ化されていて運用が楽
・掛金の減額が原則できない
・中小企業限定(規模制限あり)
・解約手当金は社員に直接支払
・短期離職時は元本割れ可能性
こんな会社に向いている:10〜80人規模/確実な退職金を出したい/運用負担を最小化したい/「国の制度で安心」を社員に伝えたい

Option 03
③ 企業型DC(企業型確定拠出年金)

会社が掛金を拠出し、社員が自分で運用先を選ぶ。投資信託・預金などから選択。運用結果次第で受給額が変動。60歳以降に受給開始(原則)。
拠出限度額:月額62,000円
2つのバリエーション
タイプ 内容 会社の負担
会社拠出型 会社が掛金を拠出。社員が運用 掛金+制度運営コスト
選択制 社員が給与の一部を拠出。会社の追加負担なし 制度運営コストのみ
メリット デメリット
掛金は所得税・住民税・社会保険料の対象外
・会社の社会保険料負担も増えない
・全額損金算入(節税効果)
・転職時にポータブル
・物価変動に強い長期形成
・運用次第で増える
・社員の資産形成リテラシー向上
・制度導入時に初期コストが発生
・月次手数料が継続
・運用次第で元本割れリスク(社員が負う)
・60歳まで原則引き出せない
こんな会社に向いている規模問わず、ひとり社長から大規模会社まで導入可能/社長または社員に投資への関心がある/採用競争力を高めたい/社員の長期資産形成を支援したい

Comparison
中退共 vs 企業型DC

項目 中退共 企業型DC
運営主体 国(独立行政法人) 民間運営機関
運用リスク 国が引き受け(社員ノーリスク) 社員が負う
掛金変更 増額のみ。減額困難 規程変更で可能
初期コスト 無料 あり
月次手数料 あり あり
掛金の社保・税金 給与扱いではない 給与扱いではない
ポータビリティ 退職時は社員に直接支給 次の会社のDCやiDeCoへ移管可
社員への投資教育 不要 必要(運営機関がサポート)
節税効果 全額損金算入 全額損金算入
加入対象 中小企業限定 規模制限なし(ひとり社長OK)

Decision Flow
採用判断のフロー

質問 YES → NO →
退職金制度を持つ予定か 次の質問へ ① 退職金なし
社長または社員に投資への関心があるか ③ 企業型DC ② 中退共
会社の手間を最小化したいか ② 中退共 ③ 企業型DC

Misunderstandings
よくある誤解

誤解 実態
退職金は法律で義務 義務ではない
中退共は大企業も使える 中小企業限定(業種別の規模制限あり)
企業型DCは大企業向け ひとり社長でも導入可能
企業型DCは社員が損する 昔は誤解されていた。長期運用では預金より有利な傾向が定着
退職金規程がないとトラブルになる 制度を持たない場合は就業規則に「退職金は支給しない」と明記すれば足りる

Life Plan
ライフプランとの繋がり

賃金は、月々の生活を支えるだけのものではない。

社員一人ひとりの人生——
結婚、子育て、住宅購入、親の介護、老後——
その全部に、会社が支払う賃金が関わっている。

賃金制度を設計するとき、
「会社の支払い能力」だけでなく、
「社員の人生の段階」を想像することが大切。

Life Stages
ライフステージ別の賃金ニーズ

ステージ 主な出費 賃金で求められること
独身期
20代前半〜
家賃・自己投資・将来への貯蓄 安定した基本給。手取りの予測可能性
結婚期
20代後半〜30代前半
結婚式・新居・新生活 基本給の安定。住宅手当があれば心強い
子育て期
30代〜50代
教育費・住宅ローン・子の医療費 基本給の継続的な引き上げ。家族手当・賞与でまとまった支え
親の介護期
50代〜60代
介護費用・交通費・時間的制約 賃金の安定。会社の理解(介護休業・時短対応)も大事
老後期
60代〜
年金+退職金で生活 これまでの賃金の累積結果。退職金・年金資産が支え

Connection
5パーツが、ライフプランをどう支えるか

5パーツ 何を支えるか ライフプランでの役割
基本給 月々の生活全体 家賃・食費・水道光熱費など、日々の暮らしの基盤
諸手当 個別の生活事情 住居(住宅手当)・通勤(通勤手当)・家族(家族手当)
賞与 まとまった出費・貯蓄 教育費・住宅ローン頭金・大型支出・貯蓄への原資
成果給 短期的な動機付け 個人成果に応じた追加収入。一時的な収入アップ
退職金 老後の生活基盤 退職後の生活費・住宅ローン残額の返済・予備資金
5パーツを揃えることで、ライフステージ全体をカバーできる設計になる。

Support
社員の資産形成を会社がどう支援できるか

賃金そのものを増やすだけではなく、社員が自分でお金を育てる仕組みを会社が後押しすることもできる。
制度として導入できる支援
支援 内容 会社の負担
企業型DC 会社が掛金を拠出。社員が運用(会社拠出型) 掛金+制度運営コスト
企業型DC 社員が給与の一部を拠出(選択制)。掛金は会社の追加負担なし 制度運営コストのみ
持株会 社員が会社株式を購入。会社が拠出金の一部を補助 補助分+運営コスト
財形貯蓄 給与天引きで貯蓄・住宅・年金原資を積み立て 事務手数料程度
情報提供としての支援
・iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用方法を社員に伝える
・NISA(少額投資非課税制度)の活用方法を伝える
・社員向けマネーセミナーを福利厚生として開催
・社労士・FPによる個別相談の機会を設ける
会社が「お金の教育」を提供することは、
社員の人生を支える間接的な賃金ともいえる。

Two Perspectives
「賃金 × ライフプラン」を経営者がどう見るか

賃金制度は、会社の損益計算書の「人件費」だけで見ると、コストにしか見えない。
でも、社員の人生から見ると、それは「生活と未来を支える源泉」
視点 賃金の意味
経営者から見ると 人件費・固定費・労働分配率
社員から見ると 生活費・教育費・老後資金・人生の選択肢
両方の視点を持つと、賃金制度の設計が変わる。
「いくら払えるか」だけでなく、「何を支えるために払うか」を考える。

After Implementation
制度を整えると、会社はどうなるか

評価制度や賃金制度を整えると、
会社にどんな変化が起きるか——
経営者として、知っておきたい現実。

Short Term
短期:一時的に退社が出ることも
制度を整えると、会社に合う人・合わない人が明確になります

MVVや3年後の経営目標を達成するための仕組みなので、その方向性に合わない社員が、自ら離れていく場合がある。

これは「制度のせいで人が辞めた」のではなく、想定内の通過点です。

Long Term
中長期:必ず退社が減る
会社の方向性が明確になり、合う人だけが残り、合う人だけが採用される

採用ミスマッチも減り、定着率は中長期で必ず上がります。

短期の変動を恐れず、長い目で見て判断する。経営者の覚悟が試される場面でもあります。

制度は、会社の方向性をはっきりさせる装置

短期の波と、中長期の安定。両方を見据えて、進めていく。

Closing
賃金制度が、人生を支える

A MESSAGE TO CRAFT
賃金は、
社員一人ひとりの人生を、
応援するためのもの。
月々の生活、家族との時間、
子どもの教育、老後の安心——
その全部に、会社が払う賃金が関わっている。

だからこそ、会社は
賃金制度を真剣に設計する。

制度は完成形ではない。
社員の人生の段階と、会社の状況に応じて、
これからも見直していく。

Four Pillars
4つの制度が、
信頼を作る
賃金制度は、単独では機能しない。
等級と評価と対話と組み合わさって、
はじめて信頼を作る制度になる。
Grade
等級制度
人の役割を、
ちゃんと位置づける。

→ 等級制度

Evaluation
評価制度
がんばりを、
ちゃんと見る。

→ 評価制度

Compensation
賃金制度
人生を、
賃金で支える。
= 現在のページ
Dialogue
面談制度
対話で、
信頼を育てる。

→ 面談制度