【2026年最新】中小企業のハラスメント対策——パワハラ防止法とカスハラ義務化に、今すぐ備える

パワハラ・カスハラ対策はもう義務——2026年、中小企業も待ったなし。中小企業のハラスメント対策とパワハラ防止法・カスハラ義務化を解説するブログのアイキャッチ画像
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パワハラ防止法は、もう「準備」の段階ではありません

「パワハラ防止法って、うちみたいな小さな会社にも関係あるの?」——数年前までは、そんな声もよく聞きました。ですが、2026年のいま、その答えははっきりしています。関係あります。しかも、対応は"義務"です。

いわゆるパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)は、大企業では2020年6月に、そして中小企業でも2022年4月から全面的に施行済みです。つまり、会社の規模にかかわらず、ハラスメント防止のための措置を講じることは、すでにすべての事業主の法的な責務になっています。「そのうち考えよう」で済ませられる時期は、とうに過ぎているのです。

ハラスメントは、一瞬で会社の信用を溶かす

記憶に新しい方も多いでしょう。近年も、兵庫県知事のパワハラ問題(第三者委員会が2025年に複数のパワハラ行為を認定)や、宝塚歌劇団で起きたパワハラ問題(運営会社が14項目のパワハラを認めて遺族に謝罪)など、ハラスメントをめぐる出来事が世間を大きく賑わせました。あれだけ大きく報じられた出来事は、今も検索すれば当時の記事が次々と出てきます。ネット社会では、一度起きたことが半永久的に残り続けるのです。

そして今は、社員の誰もがスマホ=カメラとビデオを持つ時代。「全人類がカメラマン」と言ってもいい状況です。ハラスメントの決定的瞬間が録音・録画され、SNSで一気に拡散する——そのリスクは、企業の規模を問わず、かつてないほど高まっています。

【2026年10月】次は「カスハラ対策」も義務化されます

さらに、経営者が今すぐ知っておくべき大きな動きがあります。2025年6月に改正労働施策総合推進法が成立し、2026年10月1日から「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策」が、すべての企業に義務づけられます。労働者が一人でもいれば対象となり、中小企業も例外ではなく、経過措置もありません。

これまでハラスメント対策といえば"社内"の問題が中心でしたが、これからは"社外"、つまり顧客や取引先からの理不尽な言動から自社の社員を守ることも、会社の責務になります。国が示す指針では、企業が講ずべき措置として次の4つの柱が挙げられています。

  • 方針の明確化——カスハラは許さない、という会社の姿勢を明文化し、周知する。
  • 相談体制の整備——社員が安心して相談できる窓口をつくる。
  • 事後の適切な対応——実際に起きたとき、社員を守り、迅速に対応する。
  • 抑止・再発防止の取り組み——マニュアル整備や研修などで、未然に防ぐ。

「顧客第一」を掲げる会社ほど、社員が理不尽なクレームに一人きりで耐えている、というケースは少なくありません。"お客様は神様"の時代から、"社員もきちんと守る"時代へ。この転換に、今から備えておきたいものですね。

中小企業が今すぐやるべき、5つのステップ

「義務化」と聞くと身構えてしまいますが、やるべきことはシンプルです。特別な予算をかけなくても、次の5つから着手できます。

  • ① トップの方針を言葉にする:「うちはハラスメントを許さない」と、経営者自身の言葉で明確に示す。
  • ② 相談窓口をつくる:社内・社外どちらでもよいので、社員が安心して相談できる受け皿を用意する。
  • ③ 就業規則に明記する:ハラスメントの禁止と、違反した場合の対応を規定に落とし込む。
  • ④ 研修で「知識」と「体感」を共有する:何がハラスメントに当たるのか、社内の認識をそろえる。
  • ⑤ "風通し"そのものを良くする:そもそもハラスメントが起きにくい、話しやすい空気をつくる。

「叱る」が難しい時代の、コミュニケーション

ここで経営者からよくいただくのが、「厳しく指導したら、すぐパワハラと言われるのでは?」という不安です。たしかに、頭ごなしに叱るコミュニケーションは、もう通用しません。厳しい叱責が効果を持つのは、日頃から信頼され、尊敬されている上司が、ここぞという場面でたまに使うときくらいでしょう。

とくに若い世代は、叱られた経験そのものが少なく、強い言葉はモチベーションの低下どころか、休職や退職に直結しかねません。「叱ってほしい」「解雇したい」という社長の気持ちがわかる場面もありますが、今の時代、感情的な叱責は危険すぎます。

とはいえ、これは"何も言えない"ということではありません。伝えづらい事実を、相手の立場や人格を尊重しながら、はっきりと伝える——この線引きこそが大切です。ここを取り違えて"優しさ"だけの職場になってしまう危うさについては、“ゆるブラック職場”になっていませんか? 境界線なき優しさが会社を壊すでも詳しくお話ししています。

叱られたとき、人は何を感じるのか

少し、私自身の話をさせてください。先日、とても尊敬する方に「叱られ」ました。その瞬間は、「そんな言い方しなくても」「傷つくなぁ」と感じ、笑顔で「ありがとうございます」と別れたものの、しばらくもやもや。時間がたつにつれ悔しさがこみ上げ、涙がひとつぶこぼれました。

「くっそー、絶対に負けない」——そんな感情がわいた後、それは深い感謝へと変わっていきました。図星だったから、悔しかったんです。わざわざ叱ってくれるなんて、なんて有難いんだろう、と。

でも、これは信頼関係と尊敬があってこその感情です。関係ができていない相手から同じことをされていたら、ただの傷つき体験で終わっていたでしょう。叱る・指導するよりも前に、まず信頼を積み重ねる。この順番を間違えないことが、何より大切なのです。社員へのイライラとの向き合い方は、“期待”という名の呪いを解く——社員にイライラする社長が知っておきたい感情マネジメントもあわせてご覧ください。

「知らなかった」では済まされない——5,400万円の判例

ハラスメントは、会社にとって現実的で重大な経営リスクです。ある裁判では、上司からのパワハラや暴行、退職強要などを受けたことが原因で従業員が自ら命を絶ち、遺族が会社および役員に損害賠償を求めました。判決は、役員によるパワハラ・暴行・退職強要と従業員の死亡との因果関係を認め、会社と役員に対して合計5,400万円あまりの損害賠償を命じています。

金額の大きさもさることながら、失われた命は二度と戻りません。「知らなかった」「そんなつもりはなかった」では、決して済まされないのです。

ハラスメント予防研修で、知識と風土の両方を

私たちは、企業様のご希望に合わせて、管理職向け・新入社員向けのハラスメント予防研修を行っています。研修では、職場で起こりうる、さまざまなハラスメントにも触れます。

  • パワーハラスメント(パワハラ)
  • セクシャルハラスメント(セクハラ)
  • モラルハラスメント(モラハラ)
  • アルコールハラスメント(アルハラ)
  • ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)
  • マタニティハラスメント(マタハラ)
  • そして、これから対策が求められるカスタマーハラスメント(カスハラ)

記憶に残すために、ちょっとした賞品をかけたグループワークも行うのですが、これが毎回とても好評です。せっかく大切な時間をさいて社員が集まるのですから、知識を得るだけでなく、チームワークが高まり、お互いをもっと理解し合える研修を目指しています。

結局、いちばんの予防策は「いい会社」であること

いい会社は、風通しがよく、波動が高い。責めるのではなく、ほめ合い、認め合う——そんな会社です。ハラスメント研修をするのであれば、法律の知識を得るだけでなく、その根っこにある"ほめる風土"づくりまで踏み込みたいもの。そうなれば結果として、ハラスメントはそもそも起こりにくくなります。

自社の"人の仕組み"や風土が今どんな状態か気になった方は、いい会社をつくる「しくみ」診断ものぞいてみてください。いい会社が増えて、幸せな経営者と従業員が増えますように。

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