“人柄がよさそう、経歴も立派”―それで採っちゃってませんか?|面接の“判断軸”が会社を守ります


「いや~、第一印象もすごくよかったし、 経歴もバッチリで。…これは、当たりや!って思ったんですけどね…」

先日、ある製造業の社長さんと話していたときのこと。

とても面倒見が良く、あたたかい人柄の方ですが、 採用に関しては、これで2回目の“後悔”。


目次

面接では「いい人に見える」人が多いだけですか?|第一印象に頼る危うさ

面接って、“面接用の顔”で来る人も多いんですよね。 にこやかに、感じよく、適切な言葉を選んで。

とくに経験豊富な人ほど、 面接を無難にこなすスキルも高かったりします。

でも、こうした“印象の良さ”と、 実際にその人が「どんなふうに働くか」は、別問題。

「たぶん大丈夫」 「うちなら合うかも」

この“希望的観測”が、ミスマッチのはじまりになることもあるんです。


経歴や学歴は「条件」であって「保証」じゃない|履歴書のウラを読む視点

そのとき採用した方も、有名企業での経歴があり、 リーダー職も経験済み。受け答えも丁寧で、面接の印象は申し分なし。

でも入社後は…

  • 年下社員とぶつかる
  • 「前職ではこうでした」と自分のやり方にこだわる
  • 1ヶ月で「もう辞めたい」と言い出す

社長は言いました。 「まさか、あんなに話しやすそうだったのに…」


採用で大切なのは“印象”じゃなく“判断軸”|入社後の行動を見抜く視点

「この人は、この職場で、どんな行動をするだろうか?」

この問いを軸に、見極める面接に切り替えていく必要があります。

たとえば…

  • プレッシャーがかかったとき、どう対応するか?
  • チームの温度差にどう向き合うか?
  • 「前職のやり方」とぶつかったとき、どう振る舞うか?

ファン化面接®のあとに、冷静な“判断”を|惚れさせたあとの見極め力

私は「ファン化面接®」を提唱しています。

求職者が「この会社に入りたい!」と思ってくれるような面接。 それは採用成功の第一歩です。

でも、ファンにして終わり、ではなく 「心でつながり、頭で判断する」ことが大切です。


面接チェックリスト&質問例|判断軸を磨く実践ガイド

面接の“判断軸”を磨くためのチェックリスト&質問例をまとめました。


【面接チェックリスト&質問例】

【1】最初に確認すべきこと(動機・経歴編)

□ 応募動機は、自社の仕事とリンクしているか?
→「当社のどんなところに興味を持たれましたか?」
→「この仕事で、どんな経験を積んでいきたいですか?」

□ 転職理由に一貫性や納得感があるか?
→「前職を辞めた理由を教えてください」
→「次の職場では、何を大切にしたいですか?」

□ 経歴と実際のスキルにズレはないか?
→「このご経験について、具体的にどんな業務をしていましたか?」
→「このスキル(資格)は、どんな場面で活かしましたか?」


【2】面接中に確認するべきこと(行動・価値観編)

□ プレッシャーへの耐性や考え方はどうか?
→「ここ最近で、心がザワザワした仕事上の出来事はありますか?」
→「そのとき、どう対応されましたか?」

□ チームでの協調性、他者との関わり方は?
→「職場の方と意見が合わなかったとき、どうしましたか?」
→「どんなタイプの人と働きやすいですか?逆に苦手なタイプは?」

□ 失敗への向き合い方、内省の力はあるか?
→「うまくいかなかった仕事があれば教えてください」
→「そのとき、どうリカバリーしましたか?」

□ 本人の原動力や価値観を深掘りできているか?
→「どんなときに『この仕事、好きやな』と感じますか?」
→「人生で何度も繰り返している“癖”のような行動ってありますか?」


【3】仮想シチュエーション型質問

□ 「この人が実際に働いたらどうなるか」を想像する
→「上司と意見が食い違ったまま、期限が迫っていたらどうしますか?」
→「同僚がミスをしていたとき、どんなふうに伝えますか?」


【4】面接終盤に入れる“自己開示型”質問

□ 本人の意識レベルや違和感を探る
→「今日の面接で、話しにくかった質問はありましたか?」
→「逆に、聞いてくれてうれしかった質問はありましたか?」


【5】面接官自身が意識すべきこと

□ 一つの答えで終わらず、「なぜそう思われたのですか?」「具体的なエピソードは?」と丁寧に掘る。
□ 圧迫ではなく、対話ベースで深掘りする。
□ 表情・間・声色・質問に対する姿勢も観察ポイント。


採用しては辞めて、また採用しては辞めて。

そのサイクルを繰り返していると、会社も社員も、少しずつ疲弊していきます。

私が目指すのは、 マッチする人材を採用し、長く定着し、いきいきと活躍してくれる未来。

その第一歩が、 印象に流されず、「判断軸」を持って向き合う“面接”です。

採用が、未来への投資になりますように。

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