本当に評価制度が必要ですか?
「評価制度を導入したんです。でも、かえって職場がギスギスしてしまって…」
ある社長が、ため息まじりに語ってくれた言葉です。
社員の頑張りを見える化して、納得感のある昇給・昇進につなげたい。
公平な仕組みを整えて、育成や定着につなげたい。
そんな思いで作った評価制度だったのに、
実際には「なぜ自分がこの点数なのか」「頑張っても報われない」と、
社員の不満や誤解を生んでしまった。
このようなご相談、実は少なくありません。
評価制度は“順番”を間違えると、逆効果になる
評価制度そのものが悪いわけではありません。
ただ、**社員30人以下の会社では、評価制度よりも先に整えるべき“土台”**があります。
それが、「信頼関係」と「対話の場」。
つまり、“面談のしくみ”です。
社員30人以下の会社では、「社長の言葉」がいちばん効く
小さな組織では、評価制度よりも「社長の一言」がずっと影響力を持ちます。
「ありがとう」「見てたよ」「頼りにしてる」
そんな何気ない言葉が、社員のモチベーションや自信を支えている。
裏を返せば、制度がどれだけ立派でも、
「ちゃんと話せていない」「何を考えてるか分からない」状態が続くと、
社員は不安になります。
そして、「別の会社を探そうかな」と考え始める。
評価制度の前に整えるべき、“面談のしくみ”
社員が安心して働ける職場をつくりたいなら、
まず整えるべきは“面談の仕組み”です。
ポイントは3つ。
1)評価ではなく、信頼を育む時間にする
面談は「ジャッジの場」ではありません。
社員の言葉に耳を傾け、「見てるよ」「気づいてるよ」と伝える場です。
2)頻度は“3ヶ月に1回”がちょうどいい
半年だと長すぎて振り返りづらく、毎月だと負担になる。
四半期に一度の面談は、社員の変化を見逃さず、行動変容にもつながります。
3)目標シートを活用して、「過去→現在→未来」を整理する
面談では、以下のような流れが効果的です。
- この3ヶ月でよかったこと・課題に感じたこと
- これからチャレンジしたいこと・学びたいこと
- 社長に聞いてほしいこと・伝えたいこと
これらを、社員自身の言葉で書いてもらうことで、
「自分で考える力」「未来に目を向ける力」も育ちます。
「評価がなくても、社員は育つ」
以前、面談制度だけで離職率が劇的に下がった会社がありました。
評価制度も昇給ルールも、正直ざっくり。
でも、3ヶ月に一度、社長と一対一で話す時間がある。
「自分を見てくれてる」
「大事にされてると感じる」
社員たちはそう感じて、会社に残りました。
制度ではなく、「言葉」と「対話」が、組織を支えていたんです。
社員の定着は、“制度”ではなく“信頼”がつくる
評価制度は、育成の仕上げに使うツール。
最初に整えるものではありません。
社員30人以下の会社に本当に必要なのは、
**制度ではなく、社長と社員が“定期的に、安心して話せる仕組み”**です。
やってみたいけど、どう始めたら…?という方へ
3ヶ月に1度の面談で使える『目標シートのフォーマット』をご紹介します。
どんな会社にも合うように、シンプルな設計にしています。
社員との面談をはじめたい方は、ぜひご活用ください。
以下、コピーしてそのまま使っていただけます。
【氏名】 【面談日】
【1. 過去3ヶ月のふりかえり】
① よかった点・うまくいったことは何ですか?
→
② うまくいかなかったこと・課題に感じたことはありますか?
→
③ 職場や上司・同僚から言われて嬉しかった言葉や出来事があれば書いてください
→
【2. 次の3ヶ月でチャレンジしたいこと】
① 業務面で取り組みたいこと・成長したいことはありますか?
→
② 周囲とのコミュニケーションで意識したいことはありますか?
→
③ 職場全体のために意識して取り組みたいことがあれば教えてください
→
【3. 自分の将来やキャリアについて考えていること(あれば)】
→
【4. その他(不安・相談したいこと・伝えておきたいことなど)】
→
【5. 面談担当者からのコメント】
→
(承認・アドバイス・気づいたことなど)
社員と“ちゃんと話す時間”があれば、評価制度がなくても、会社は確実に変わっていきます。
まずは、面談という「信頼の時間」を、社内に根づかせてみてください。
小さな積み重ねは、やがて会社の“軸”になります。
それをコツコツ続けた会社だけが、本当に強くなっていくんだと思います。