「最近、応募しても面接に来ない人が増えていて…。もしかして、口コミが原因かもしれません」
ある日、私が採用支援をしているお客様から、そんな相談を受けました。
調べてみると、Googleマップには「星1」の口コミが投稿されていたのです。
最近では、求職者が応募前にGoogleで会社名を検索し、口コミをチェックするのが当たり前になっています。
特にZ世代を中心に、口コミから“社風”や“働きやすさ”を読み取ろうとする傾向は年々強まっています。
採用に力を入れている企業こそ、口コミ対策は“やって当たり前”の時代。
にもかかわらず、「そんなの気にしてるの?」と油断している企業は少なくありません。
この記事では、意外と知られていない「Google口コミの削除方法」と、「採用に与えるリアルな影響」について、実際の支援現場での事例を交えてご紹介します。
【Google口コミは、なぜ採用に影響するのか?】
「会社名+口コミ」で検索したことはありますか?
今の求職者は、求人票の内容だけで応募を決めることはほとんどありません。
応募前に企業名を検索し、公式サイトだけでなく、さまざまな口コミサイトをチェックしています。
中でも特によく見られているのが、「Googleの口コミ」です。
検索結果の上位に表示されることが多く、スマホからも簡単に確認できるため、閲覧率が高い傾向にあります。
求職者はその口コミを通して、
「自分に合いそうな職場か」「スタッフの雰囲気はどうか」などを読み取り、応募の判断材料にしているのです。
特に20代前半など若手層は、条件面よりも「感情的な安心感」を大事にする傾向があり、
たったひとつのネガティブなコメントが、応募を見送る理由になってしまうこともあります。
【事例:星1レビューで面接辞退が起きた瞬間】
「面接予定だった20代男性、急に来なくなってしまったんです」
これは、ある飲食店を運営するオーナー企業から伺ったエピソードです。
当日になっても連絡がつかず、不思議に思っていたそうですが――
後日、別の応募者とのやり取りの中で、こんな言葉があったといいます。
「口コミ見たらちょっと怖くなって…。実際はどうなんですか?」
その応募者は面接に来たものの、ネット上の評判に不安を感じていたのです。
そこで初めて、応募が途中で止まる原因が“Googleの星1レビュー”だったことに気づいたそうです。
実際には、まったく根拠のない書き込み。
それでも、採用チャンスはこうして静かに失われていくのです。
【削除できる口コミとできない口コミの違い】
Googleでは、以下のような内容をポリシー違反として削除対象としています。
・虚偽の情報
・差別的な表現
・嫌がらせや個人攻撃
・関係のないスパム行為
一方で、「接客が悪かった」「もう行きたくない」といった個人の感想・印象ベースの内容は、基本的に削除されません。
ただし、「これは明らかにおかしい」「事実と異なる」と思える内容については、削除申請する価値があります。
【投稿者が自分で削除する方法】
<スマホ(Googleマップアプリ)>
1.アプリを開き、プロフィールをタップ
2.「すべてのクチコミを表示」
3.該当クチコミの「…」から「クチコミを削除」
<パソコン(ブラウザ)>
1.Googleマップを開く
2.自分のクチコミ一覧から該当の口コミを探す
3.「…」メニューから「クチコミを削除」
※従業員が書いた可能性がある場合は、本人に削除をお願いする方法もあります(対応は慎重に)。
【Googleに削除を依頼する3つの方法】
① Googleビジネスプロフィールから
・管理画面にログイン
・「クチコミ」タブを開く
・該当クチコミの「不適切なクチコミを報告」をクリック
② Google検索結果から
・会社名で検索
・口コミ一覧の「…」をクリックし「レビューを報告」
③ Googleマップから
・店舗ページを開く
・口コミ欄の「…」→「レビューを報告」
【削除されなかったときの再審査のすすめ】
削除依頼を出しても、すぐに通るとは限りません。
却下された場合でも、Googleサポートに問い合わせて「再審査」をリクエストすることができます。
その際には、
・どこがポリシー違反にあたるのか、具体的に説明
・来店履歴がないなど、裏付け資料があれば添付
することで、対応される可能性が高まります。
「一度で通らなかったから」とあきらめず、根拠を整えて粘り強く進めることが大切です。
【経営者として、口コミとどう向き合うか?】
悪い口コミに対しては、冷静に、誠実に対応することがポイントです。
<返信の例>
「ご意見ありがとうございます。お感じになられた点について真摯に受け止め、改善に努めてまいります。」
たとえ否定的な内容でも、こうした返信があるだけで、読んだ人の印象は大きく変わります。
逆に、放置されている口コミは「やっぱりこの会社、怪しいかも」と見られてしまうリスクがあります。
【「口コミを武器にする会社」が採用で勝つ】
口コミは「消すもの」だけではありません。
「活かすもの」として、戦略的に活用することもできます。
・スタッフへの声かけや接客の改善を通じて、自然と感謝の声が集まるようにする
・満足度が高いお客様に「もしよろしければ、口コミ投稿をお願いします」と伝える
ポジティブな口コミが集まると、採用だけでなく営業面でもプラスの効果があります。
採用活動とは、こうした“細部の信頼づくり”の積み重ねの上に成り立つのです。
ぜひ今日から、口コミ対策を「採用戦略の一部」として見直してみてください。
「知らなかった」では済まされない時代。
口コミは、企業の“無言の面接官”です。