採用の現場でよく聞く悩みのひとつが、
「せっかく採用しても、すぐに辞めてしまう」 というもの。特に20代の若手社員に多く、採用しても定着しない──そんな課題を抱える中小企業は少なくありません。
一方で、最近の転職市場では、40代・50代のいわゆる“ミドル層”の転職が増加しています。彼らは、時にキャリアの遠回りをしてきたかもしれません。でも実は、その「遠回り」が会社にとって大きな価値になることがあるのです。
離職率のデータが示す「ミドル層の安定感」
厚生労働省の「令和3年雇用動向調査」によると、離職率は年齢によって大きく異なります。
- 19歳以下:33.6%
- 20~24歳:24.2%
- 40~44歳:7.4%
- 45~49歳:6.4%
つまり、20代前半の若手社員は、およそ4人に1人が1年以内に辞めている一方で、40代後半では15人に1人ほどしか離職していないのです。
また、新卒大学生の3年以内離職率は34.9%(厚労省調査)というデータもあります。
もちろん、企業として「若手を採りたい」という気持ちは自然なことです。しかし、若手はどうしても離職リスクが高く、戦力になるまでに時間がかかることも。
そう考えると、定着率が高く、経験値も豊富なミドル層の採用は、会社にとって“堅実な投資”ともいえるのです。
だからこそ今、中小企業が注目すべきは「経験もあり、定着も期待できる」ミドル層なのです。
氷河期世代という“抑圧された才能”
現在40代〜50代の多くは、就職氷河期世代。1990年代後半〜2000年代初頭に新卒を迎えた彼らは、
- 正社員求人の激減
- 男女格差が色濃く残る雇用環境
- 「非正規が当たり前」という社会構造
といった厳しい現実の中で、思うようなキャリアスタートを切れなかった人も少なくありません。
特に女性にとっては、正社員として雇用されるチャンス自体が少なく、 「契約社員しか選べなかった」 「結婚や出産でキャリアをあきらめた」 という経験を持つ方も多いのです。
そうした背景の中で「本当はずっと働きたかった」「今度こそ正社員として頑張りたい」と、再スタートを切ろうとする彼らの姿勢は、とても真剣で、地に足がついています。
キャリアの“遠回り”が育むもの
遠回りしてきた人には、独特の強みがあります。
- 人間関係の大切さを知っている
- 感情のコントロールができる
- 自分の弱さも含めて受け入れている
- 「働くこと」への感謝がある
彼らは、ただスキルがあるというだけでなく、「職場に馴染む力」や「人としての信頼感」を備えていることが多いのです。特に中小企業のような少人数の組織では、この“人間力”がチーム全体の安定に大きく影響します。
ミドル層の活躍が会社にもたらすメリット
- 即戦力として現場に入りやすい
- 若手への指導役・橋渡し的な存在になれる
- 定着率が高く、長期的な戦力になる
短期で成果を求められがちな中小企業にとって、長く腰を据えて働いてくれるミドル層の存在は、組織の柱になり得ます。
中小企業がミドル層を採用するうえでのポイント
もちろん、ミドル層を採用する際にはいくつか注意点もあります。
- 前職でのプライドや価値観をリセットできるか
- 自社の文化に馴染めそうか
- 「指示待ち」ではなく「主体的に動けるか」
これらを面接や面談で丁寧に見極めることが大切です。逆に言えば、そこさえクリアすれば、「自信を失いかけた人が、もう一度輝ける職場」になる可能性があるのです。
会社が「人生の再スタートの場」になるとき
キャリアに遠回りした人たちは、弱さを知っているからこそ、強くなれる。自分の価値を信じ直したいと願っているからこそ、粘り強く、誠実に働く人が多いのです。
中小企業こそ、そうした人材を迎え入れられる「温かさ」と「柔軟さ」を持っています。
あなたの会社が、誰かにとって「やっと見つけた、居場所」になるかもしれません。
そしてその出会いが、会社にとってもかけがえのない“宝”になるかもしれないのです。
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