「悪い人じゃないのに、なんか好きになれない」
「うまくやってはいるけど、イライラしてしまう」
「理由は説明できないけど、距離をとりたくなる」
こんな“ちょっと苦手な人”が職場にいる、という社長さん、多いのではないでしょうか。
私自身も以前、そういう人がいました。
ただ、あるきっかけでその人の“本質”を知ったとき、見方が変わったんです。
その経験を通して、「人間関係に心理学が効く」ということを実感するようになりました。
■ なぜ「あの人が苦手」なのか?投影という仕組み
心理学者カール・ユングは、「投影(プロジェクション)」という概念を提唱しました。
これは、自分の中にある未熟さ・抑圧・受け入れがたい部分を、他人に映して見る心の働きのこと。
たとえば…
- 自分が我慢して頑張っていると、自由にふるまう人が“ルーズ”に見える
- 自分が謙虚でいようとしていると、前に出る人が“でしゃばり”に見える
- 自分に自信がないと、堂々とした人が“威圧的”に見える
本当は相手が悪いわけではなく、自分の中にある“まだ受け入れられていない自分”が反応しているのかもしれません。
■ ユング心理学でいう「シャドウ」とは?
ユングは、私たちの心の中には“光と影”の両面があると考えました。
この「影」の部分を“シャドウ”と呼びます。
シャドウとは、見たくない、認めたくない、無意識に押し込めている自分の側面。
人は、そのシャドウに直面しそうになると、怖くなって防御反応を起こします。
そのときに働くのが“投影”です。
つまり、「嫌い」「苦手」という感情は、自分の中のシャドウが反応しているサインでもあるのです。
■ 苦手な人は“成長のヒント”をくれる存在かもしれない
職場にいる「なんか苦手な人」。
その人の行動や考え方が、自分にとって何を意味しているのか。
もし、感情の奥にある自分の課題に気づけたら――
その人は、あなたに成長のヒントをくれる“先生”になるかもしれません。
たとえば
- 「私はもっと自分の気持ちを出してもいいのかもしれない」
- 「いつも冷静でいようとしてたけど、本当は不安を隠してたのかも」
- 「実は羨ましかったのかもしれない」
そうやって、他人を通して自分を知ることができるのが、シャドウワークの面白さでもあります。
■ 苦手意識が変わると、関係性が一気にやわらかくなる
私もかつて、どうしても苦手な人がいました。
でも、その人の“行動の理由”や“背景にある思い”を知ったとき、
「この人、ただ自分を守っていただけなんだ」と気づいたんです。
そこから、関係がすっとほどけていきました。
いまでは、「嫌いな人がひとりもいない」と言えるほど、人との関係が楽になりました。
それって、本当にすごく幸せなことだなと思っています。
■ 「嫌い」は悪じゃない。でも、チャンスかもしれない
人間関係で湧き上がる“好き・嫌い”という感情は、決して悪いものではありません。
むしろ、自分自身を知るチャンスでもあります。
「このイライラ、どこから来てるんだろう?」
「この人に何を感じているんだろう?」
そんな問いをひとつ立てるだけで、
目の前の人が「敵」から「可能性」に変わることもあるのです。
苦手な誰かの中に、自分自身の“シャドウ”が映っているかもしれない。
それに気づけたとき、人との距離も、自分との距離も、ちょっとずつ近づいていくのかもしれません。
🌱「人間関係って難しい…」と感じる方へ
心理学を少し知るだけで、職場の空気が変わることもありますよ😊