「なんか、あの人がいると空気が重いよね…」
「話しかけづらいし、いつもイライラしてる感じがする」
「大きな声を出しているわけじゃないのに、場が緊張する」
そんな“ピリピリしたオーラ”を放つ人、あなたの職場にもいませんか?
実は私自身、そういう人がちょっと苦手です。
無意識に避けてしまうし、タイミングを見計らって話しかけたり…
その人がいるだけで、周りの空気まで張りつめてしまうこと、ありますよね。
ある会社では、
「あの人が関わると、まわりの人がどんどん辞めてしまう」
なんて声も聞きました。
しかも、本人が怒鳴っているわけでも、悪口を言っているわけでもない。
それでも、“ピリピリ”“イライラ”が伝わってくる…。
――これ、実は心理学でちゃんと説明できる現象なんです。
■ 感情は“空気感染”する|エモーショナル・コンタジオン
人間の脳には、ミラーニューロンと呼ばれる共感機能が備わっています。
これは、他人の表情や仕草、声のトーンから感情を“無意識に読み取り、自分に同化させてしまう”機能。
つまり、職場で誰かがピリピリしていると、周囲にも緊張やイライラが「伝染する」んです。
特に「影響力がある人」「古株の人」「無言で圧を出す人」などは要注意。
彼らの感情は、言葉を使わなくても
- 動作の速さや荒さ
- 無表情さ、ため息
- 無音の中の“重み”
などを通じて、まわりに“空気”として伝わっていきます。
■ 離職を引き起こすのは“言葉”よりも“空気”
最近よく話題になる「心理的安全性」。
これは、「自分らしくいていい」「ミスしても大丈夫」「気軽に話しかけられる」
――そんな安心感がある職場のことを指します。
ところが、ピリピリした人がいる職場では…
- 質問するのが怖い
- 表情が読めなくて緊張する
- ミスしたらどう思われるか不安になる
こうして、少しずつ「相談しない空気」「沈黙の文化」が出来上がっていきます。
その結果、社員はこう感じるようになります。
「この空気、無理かも」
「居心地悪い」
「誰も辞めろとは言ってないけど、もう限界かも」
これが、静かな離職の正体です。
■ じゃあ、どうすればいいの?
■① 本人に「あなたが悪い」と言っても逆効果
まず大前提ですが、ピリピリ系の人の多くは“悪気がない”ことが多いです。
むしろ、
- 真面目すぎる
- 責任感が強すぎる
- 周囲の期待を背負いすぎている
そんな人が多いのです。
だからこそ、
「あなたが雰囲気悪くしてるよ」
「態度が怖いよ」
…と伝えてしまうと、余計に防御反応が出てしまいます。
■② “空気を整える役割”があることを伝える
おすすめは、「空気をつくる力がある人」として肯定するアプローチ。
例えばこう伝えます👇
「〇〇さんがいると、空気がグッと引き締まるのがすごくわかります」
「その影響力、すごいんですよ」
「だからこそ、〇〇さんがちょっと疲れてるだけで、周りも“今日は大変なのかな”って感じてます」
これ、怒ってると言ってないですよね?
でも、「空気が伝わっている」という事実をやんわり伝えている。
そして、相手に「影響力がある存在」として認識してもらっています。
■③ “怒り”ではなく“疲れ”として扱う
感情をぶつけてくる人に対しては、怒りで返すのではなく、“疲れてるんだな”と解釈して接するのが効果的です。
「最近お疲れじゃないですか?」
「ちょっと休んでもらってもいいですよ」
「〇〇さんが余裕あるときの空気って、すごく安心感あるんですよね」
こういう“感情をメタ認知させる声かけ”が、本人の気づきを促す第一歩になります。
■ 空気を変えられる人は、未来を変えられる人
ピリピリ系の人に対して、ただ距離を置くだけでは、組織は変わりません。
かといって、指摘や矯正でもうまくいかない。
必要なのは、「影響力があることを伝え、気づいてもらう」こと。
空気を変えるのは、「誰かの優しさ」と「最初のひと言」だったりします。
あなたの職場にも、もしそんな人がいたら。
一度、その人の“空気をつくる力”に、そっとスポットライトを当ててみてください。
きっと、その場が少しだけ、やわらかくなるはずです。
そしてもし、個人に注意してもなかなか変わらないと感じるなら、
アンガーマネジメント研修や、チーム全体でのコミュニケーション研修を取り入れるのもひとつの方法です。
「空気」は、チーム全体で育てていくものだから。
◎ “やさしさで、職場の空気を育てる”
そんなきっかけが、今日から始まりますように。