「面接では良さそうだったけど、入社後に“あれ?”ってなることが多い」
「人柄はいいんだけど、なんか合わない感じがする」
「うちに合う人がなかなか来ない」
そう感じたことのある社長も多いのではないでしょうか。
実は、“この人はうちに合う”と確信できるかどうかは、採用の「前段階」でどれだけ相手の価値観や働き方の傾向を引き出せるかにかかっています。
■ 「スキル」よりも「相性」で決まる、中小企業の採用
中小企業の採用においては、スキルや経歴よりも
その人が会社の雰囲気や考え方にマッチしているかの方が、はるかに大切です。
なぜなら、どれだけ優秀な人でも、
- 上司との考え方がズレている
- 会社のスピード感に合わない
- 求められる役割への理解が浅い
こうした“見えないミスマッチ”があると、早期離職やチーム内のストレスにつながってしまうからです。
■ 面接前・面接中に聞いておきたい10の質問
〜価値観・志向性を見抜くために〜
以下の10問は、「うちに合うか?」を見極めるために効果的な質問です。
すべて、単に答えを聞くのではなく、“その背景”を深掘りするのがポイントです。
🔹1. 今までの仕事で「ここは自分に合っていたな」と思う部分は何ですか?
→ 適応しやすい環境や価値観のヒントが見えます。
🔹2. 逆に、「ちょっと違ったかも」と感じた職場や業務はありましたか?
→ 苦手な雰囲気やズレやすい価値観を把握できます。
🔹3. これまでに「うまくいったな」と思う仕事はどんなものでしたか?
→ 成功体験の中に、その人の強みやモチベーションの源泉が出てきます。
🔹4. 働くうえで「これは譲れない」と思っていることは何ですか?
→ 大切にしている働き方や人間関係のスタイルがわかります。
🔹5. チームでの仕事と一人での仕事、どちらが得意・好きですか?
→ 配属や指導スタイルのヒントに。
🔹6. 指示が細かい方がやりやすい? ある程度任される方が合っている?
→ 自立型か、サポート型かの見極めに使えます。
🔹7. 上司や先輩に「こうしてもらえると嬉しい」と思う関わり方は?
→ 理想の関係性とコミュニケーションスタイルがわかります。
🔹8. ミスをしたとき、普段どう対処していますか?
→ 責任感や対処力、相談タイミングの傾向が見えます。
🔹9. あなたが一番やりがいを感じた仕事と、その理由は?
→ 本人の“やる気スイッチ”がどこにあるかを探れます。
🔹10. あなたにとって「いい職場」ってどんな場所ですか?
→ 求めている文化・風土が自社に合っているかを見極める最後のひと押しに。
■ 面接でのポイントは「正解を探さないこと」
この10問は、「正しい答え」を求めるものではありません。
社長自身が、「自社とこの人は合いそうか?」という視点で、“価値観の相性”を確認するためのツールです。
相手にとっても、「この会社、自分に合いそうかも」と安心して判断できる材料にもなります。
■ 面接は「合うかどうか」を見極める対話の場に
今回ご紹介した10の質問は、単に面接をスムーズに進めるためではなく、
「うちに合うかどうか」をしっかり見極めるための問いかけです。
価値観や働き方のスタイルは、履歴書や職務経歴書ではわかりません。
だからこそ、面接という“対話の場”で、少しずつ引き出していく必要があります。
「なんとなく感じが良かったから」「素直そうだったから」
――そんな理由で採用して、ミスマッチが起こる前に。
あなたの会社に本当に合う人と出会うために、
“その人が大切にしていること”に目を向ける面接、ぜひ取り入れてみてくださいね。
■ でも実は・・・「見極める」より先に大事なことがある
とはいえ、私が現場でいつも感じているのは、
本当に大事なのは「見極めること」よりも「ファンにしてしまうこと」だということです。
面接の時点で、「この会社で働きたい」「ここで成長したい」と思ってもらえる状態をつくること。
そうすれば、候補者も自分の言葉で本音を話してくれるし、
こちらが見極める前に、相手のほうから「うちに合うかどうか」を考えてくれます。
だからこそ、最初に会社の魅力や、社長の想いをしっかり伝えること。
そして「この会社、ちょっといいかも」と思ってもらえるような面接の場づくりこそが、本当の採用力につながります。