「採用はディールだ」――トランプ流交渉術に学ぶ、慎重な人材の口説き方

いま、経営者の多くが直面している共通の悩み――それは「なかなか人が採れない」ということ。

応募はある。面接もする。でも内定を出しても、辞退される。

「うちみたいな中小企業じゃ無理なのか?」 「条件を上げたって、人が動いてくれない……」

そう感じている方も多いのではないでしょうか?

でも、実は今の採用市場でカギになるのは、「条件の良し悪し」だけではありません。

それは、“ディール”です。そう、交渉術。

元アメリカ大統領、ドナルド・トランプ氏が得意とする「ディール=取引(交渉)」の考え方こそ、採用においても今まさに求められている視点なのです。

目次

なぜ今、“ディール型”の採用が必要なのか?

結論から言うと、今の転職市場では「優秀な人材ほど慎重」だからです。

特に、ある程度キャリアを積んだ人・家庭を持っている人・現職での待遇がそこそこ良い人ほど、「転職=リスク」と感じています。

このような人材が動くためには、“安心材料”と“納得材料”が必要。

つまり、単に条件を提示するだけではなく、

  • あなたのスキルは当社でこう活きます
  • 前職より年収アップを前提に考えます
  • ご家族のことも配慮した働き方を設計できます

など、「あなたにとってのメリット」を個別具体的に提示する交渉力(ディール力)が必要になるのです。

これはもう「お願い」ではなく「提案」なんですね。

トランプ流ディール術に学ぶ採用のヒント

トランプ氏は、著書『The Art of the Deal』の中で、こんな風に言っています。

“You don’t get what you deserve, you get what you negotiate.”
(人は“ふさわしいもの”を得るのではなく、“交渉したもの”を得る)

これは採用にも通じます。

企業が「いい人が来ない」と嘆くのではなく、 「どうすればその人にとって“選びたくなる条件”になるか」を交渉していく姿勢が求められています。

具体的には:

  • 前職の給与をヒアリングし、可能ならそれを上回る提示を検討する
  • 週4勤務や時短など、柔軟な働き方を“交渉可能”にしておく
  • 入社後の成長ステップやキャリアビジョンを一緒に描いて見せる

こうした一つひとつが、今の求職者にとっての“動く理由”になるのです。

「条件提示」ではなく「価値提案」を

多くの求人票には、

月給:22万〜30万円
※能力・経験を考慮の上、当社規定により決定
※前職給与を上回るよう配慮します

といった一文があります。

これはとても良いことです。なぜなら、「この会社は、ちゃんと自分を見てくれそう」と思ってもらえるからです。

でも、そこに“提案型”の視点をさらに加えてみるとどうでしょうか?

たとえば、面接の最後にこう聞いてみるのです

「今のお仕事では、どんな点に満足していますか?逆に、変えたいと思っていることは?」

この一言が、その人の“ディールポイント”になります。

相手が何を求めているかを理解した上で、それを叶える方法を提案する。

これこそが、採用における“トランプ流ディール”です。

人が動かない時代だからこそ、採用はもっと“交渉的”であれ

これからの採用は、ただ条件を上げればいい、ただ良い人を待てばいい、という時代ではありません。

企業側が「この人に来てほしい」と思ったら、その人が「動く理由」を一緒につくる必要があります。

それは、まさに“交渉”であり“ディール”です。

相手の価値を尊重し、会社の価値と結びつける提案力こそが、これからの採用成功のカギ。

「採用はディールだ」。

今、この言葉が日本の中小企業にも必要になっているのではないでしょうか。

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