最近、面接でこんな言葉を聞いたことはありませんか?
「特にやりたいことはないんですけど…」
「何に向いてるかも、まだわからなくて…」
「御社に入ってから、見つけたいと思っています」
その瞬間、心の中で「大丈夫か、この子…」と感じてしまった社長、
ちょっと待ってください。
“やりたいことがない”=“やる気がない”ではありません。
むしろ、現代の若者の特徴をよく表したサインかもしれないのです。
やりたいことが“ない”のではなく、“言語化できていない”
Z世代(1996年以降生まれ)の若者たちは、正解のない時代を生きています。
- 人生のロールモデルが見えない
- SNSで成功者と自分を比べて自信を失う
- 選択肢が多すぎて、逆に動けない
- 「夢はありますか?」と聞かれること自体がプレッシャー
つまり彼らは、「やりたいことがない」というより、
「やりたいことを“明確な言葉”にできない」
「何をやっても否定されそうで、まだ出せない」
という、“心の安全”を探っている状態なのです。
昭和・平成世代とは違う“やる気の表現”
たとえば昭和の若者は、「会社に骨を埋めます!」がやる気の証でした。
平成の若者は、「キャリアアップしたいです」がそれにあたるでしょう。
でも令和の若者は、“共感・安心・信頼”の中でこそ、やる気が育つんです。
彼らにとってのやる気は、
「やらせてください!」ではなく、
「それ、ちょっと面白そうですね…」という“ささやかな反応”に宿っています。
若者がやりたいことを語れない3つの理由
① 失敗への恐れが強い
Z世代は「空気を読む力」は高いですが、「失敗しても大丈夫」と思える経験が少ない。
だから、ハッキリと夢や希望を語るのが怖いのです。
② 完璧主義・自信のなさ
SNS世代は常に「正解」や「成功例」にさらされています。
中途半端な夢や願望を話すと、「ダサい」と思われるのでは?という不安を持っています。
③ 自己肯定感の低さ
「君のやりたいことは何?」という問いに慣れていないまま育った若者が多く、
まずは「自分にそんな価値があるのか?」という葛藤が先にくることも。
「やりたいこと」を引き出す関わり方のヒント
1. まずは「興味あること」から探る
「やりたいこと」ではなく、「ちょっと気になることってある?」と聞くと、
意外と話し始めることがあります。
「趣味」「得意だった教科」「よく見るYouTube」「最近ハマってること」などから探ると◎
2. 正解を求めないスタンスを見せる
「まだ決まってなくてOK」
「うちで見つけていけたらいいね」
そんな言葉を社長がかけられると、若者は心を開きやすくなります。
3. 小さな成功体験を積ませる
仕事の中で「できた!」「褒められた!」という小さな成功体験を重ねることで、
徐々に「自分にも何かできるかも」と思えるようになり、やりたいことが芽吹きます。
社長がつくる“安心して夢を語れる職場”が、最大の採用力
今の若者は、「企業理念に共感した」「社長の考え方が好きだった」と言って応募してきます。
つまり、会社の中に“自分が夢を見ていい空気”があるかを見ているのです。
求人票やホームページでも、“自分が夢を見ていい会社かどうか”はある程度伝わります。
けれど、最後の決め手になるのは、やっぱり社長や社員の“言葉のリアル”だったり、
“空気のにおい”だったりするのです。
これからの若者に必要なのは、“答え”ではなく“余白”
「やりたいことがない」ように見える若者に必要なのは、
答えを急がせることではなく、じっくり考えてもいい余白です。
社長がその余白を認め、信じて待てるかどうか。
それが、これからの人材育成・採用力の大きなカギになります。
あなたの会社は、若者の“内なる芽”を見つけ、
「いっしょに育てよう」と言える場所になっていますか?