モーレツ社員からタイパ世代へ
「最近の若者は指示待ちばかりで、自分で考えない」
「部下に“がんばれ”と言ったらハラスメントだと言われた」
「昔は先輩の背中を見て覚えたもんだけどな…」
多くの経営者が、日々、世代間のギャップに直面しています。
しかしこのギャップ、実は“面倒なズレ”ではなく、経営のヒントの宝庫かもしれません。
なぜ価値観がこんなにも違うのか?
どうすればお互いを活かし合える組織をつくれるのか?
今回は、昭和・平成・令和の3世代の「働く価値観」の違いに注目し、それをどう経営に活かすかを紐解いていきます。
昭和世代:「働く=耐える、尽くす、結果を出す」
昭和の働き方といえば、まさに「モーレツ社員」の時代。
- 終電まで働くのが当たり前
- 会社は家族、上司は父親代わり
- 成果よりも「姿勢」や「根性」が評価される
- 「3年は石の上にも」と言って辞めないのが美徳
この時代の価値観は、戦後の経済成長期に「一丸となって国を豊かにしよう」という空気の中で育ちました。
「個人より組織」、「プライベートより会社」。
頑張ってなんぼ、我慢してなんぼの時代です。
だからこそ、現代の若手に「定時で帰ります」と言われたときに違和感を持つのも無理はありません。
平成世代:「安定志向と自己実現のはざまで揺れた世代」
平成生まれは、いわば“はざま”の世代。
- 就職氷河期やリーマンショックを経験し、「会社は守ってくれない」と学ぶ
- 上司と部下の“中間管理職的ポジション”になりやすく、両方の板挟みに
- 忠誠心もあるが、やりがいも大事にしたい
- 働き方改革の恩恵を受けつつも、昭和流のマインドも残っている
彼らは「自分らしく働きたい」という理想と、「でも生活も大事」という現実の間でバランスを取り続けてきた世代です。
この世代が組織の中心にいる今、「自分の時はこうだった」と上にも下にも共感しつつ、正直、疲れています。
令和世代(Z世代):「働く=人生の一部。無理なく、楽しく、効率よく」
令和の若者たち、いわゆるZ世代は、価値観がガラリと変わっています。
- 「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視
- 無理はしない、すぐに辞める=逃げではなく“選択肢”
- 会社の“理念”や“世界観”に共感できるかを重視
- 上下関係より“対等なコミュニケーション”を求める
- 正解がわからないと動かない(失敗が怖い)
彼らにとって「働くこと」は人生のすべてではなく、あくまで「自分の人生を豊かにする手段の一つ」です。
「会社に尽くす」は通じず、「この会社で自分は成長できるか?」が基準です。
このギャップ、どう乗りこなす?
「価値観が違うから合わない」ではなく、
「価値観が違うからこそ、お互いの強みを活かせる」へ。
社長として意識しておきたいポイントは以下の3つです。
① 昭和の“経験”を、令和の“言語”で伝える
「背中で語る」だけでは伝わりません。
Z世代には、具体的に言語化して、対話で渡すことが必要です。
例:「頑張れ」→「どこで困ってる?何か手伝えることある?」に変換
② 会社の理念やビジョンを“共感できる物語”にする
Z世代は“意味のない努力”が大嫌い。
理念や方針が腹落ちしていると、動き方もガラッと変わります。
例:「なんのためにやってるか、わからない」と言われたら危険信号。
③ 多様な価値観を“分断”ではなく“共存”へ
世代間の違いは、「間違い」ではなく「多様性」です。
昭和の根性、平成のバランス感覚、令和の合理性。
それぞれがチームに必要な“ピース”だとしたら、
会社はまさに“多世代型プロジェクトチーム”です。
働くって、もっと自由でいい
世代間ギャップを面白がりながら、
「今の若者は…」ではなく、「この若者の強みは?」と問い直すこと。
それができる社長のもとには、きっと人が集まります。
“働く”という言葉も、時代とともにアップデートされてきました。
今は「頑張ること」よりも、「活かされること」が大切な時代。
モーレツ社員を知るあなたの経験と、
タイパ世代の価値観が交わったとき、
きっとこれからの「いい会社のカタチ」が見えてくるはずです。